日本経済新聞より

『野田佳彦首相は19日、円高に苦しむ企業の国内投資を後押しするため、2011年度第3次補正予算案に、3000億円規模の雇用創出産業立地補助金を盛り込む考えを明らかにした。中小企業向けの低利融資や、海外への事業展開を支援する制度を創設する意向も示した。政府は20日、円高対策の中間報告を発表する。


 首相が念頭に置くのは09年度と10年度に計1400億円計上した「低炭素型雇用創出産業立地補助金」。低燃費車の製造工場やリチウムイオン電池、発光ダイオード(LED)の生産設備を増強する企業に支給した。

 首相は19日、日産自動車横浜工場を視察し、カルロス・ゴーン社長らと意見交換した後、記者団に「3次補正に1400億円の倍以上積み上げるくらいの措置を取らなければいけない」と表明。「必要なときには断固たる措置をとるなど、パッケージとしての円高対策をしっかり講じていかなければならない」と為替介入の可能性にも言及した。


 首相は東京都大田区の自動車関連部品メーカーも見学し、中小企業向けの「低利融資制度を作っていきたい。中小企業の海外展開のための支援制度をどうするか考えたい」と語り、3次補正で対応する考えを表明した。


 政府は円高対策の大半を10月中下旬に提出予定の3次補正に盛りこむ方針。対策は円高の痛みの緩和策と、メリットの活用策の2本柱で構成している。


 痛みの緩和策は中小企業の資金繰り対策が柱。今月末に期限を迎える企業の借り入れを政府が全額保証する制度を延長するほか、政府系金融の低利融資も拡充する。企業の海外移転など産業空洞化対策も強化。サプライチェーン(供給網)を強くするためにも、企業の国内立地向けの補助金を拡充。国内雇用拡大のために各都道府県に置いた基金も、積み増す方向で検討する。


 メリットの活用策では、超円高を生かして海外の有力企業や資源を割安に買収する動きを後押しする。たとえば、レアアースの鉱山買収などを目指す開発企業への支援体制を強化するため、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への政府出資を検討。さらに、財務省が8月末に設定した銀行・企業向けの1000億ドルの資金枠も、海外企業の買収や資源確保に生かす』

文責:永嶌和彦